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サンパウロの基本の基本(前編)

目下、世界から経済的成長が期待されるブラジル。そのなかで最もダイナミックな街であるサンパウロは、目立った観光資源がないために、観光旅行者に素通りされることも多い。南米という枠すら超えて、もはや南半球で最も重要な都市となりつつあるこの街の基本情報をざっと紹介しよう。

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サンパウロ 経済・歴史・人種

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上: サンパウロ証券取引所前の通り
下:サンパウロで一番の目抜き通りパウリスタ大通り
経済2025年にはGDP第6位?

人口1,125万人を数えるサンパウロは、国内最多の人口が集中する一大都市だ。近隣の街を含んだ大サンパウロ圏では1,989万人を数え、都市圏別にみると世界第7位の位置につけている。大手外資系企業がひしめく先進国的ビジネス街がある一方で、バッタ物が日中平気で取引される第三世界的な地区もあり、ありとあらゆる商行為が行われるそのごった煮の感じがこの街の面白いところだ。
サンパウロ市のGDPは2008年度において世界ランキングで10位(3,880億ドル)につけており、2025年には6位(7,820億ドル)まで上昇することが予想されている。94年に導入され現在に至るまで続いている通貨レアルは、過去の通貨にない安定感を保って推移しており、もはや次世代を担う若者の多くはハイパーインフレの時代を知らない。
中産階級が購買力をつけてきたことで個人消費が伸びており、自動車の新車販売や不動産投資が活況を呈している。この状況をバブル経済であると危惧する見方も多いが、3年後のサッカーワールドカップ、5年後のオリンピックまでは、ブラジル経済は好調に成長していきそうだ。
過去に「未来の国ブラジル」と言われた際に、その未来とは永遠に先のような皮肉を含んだニュアンスがあったが、今ブラジルはその未来を手中に収め、名実ともに大国になろうとしている。

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左:パチオ・ド・コレジオ/右:街角のバールでは、コーヒーはグラスで出される。

歴史
名称の由来とコーヒー景気から工業化まで

キリスト教色の色濃い中南米では、聖人の名を冠した街が多いがサンパウロもまたそのひとつである。1554年1月25日に、いまのセントロにあたるピラチニンガ高原にイエズス会の宣教師たちがインディオの教化を目的として学校を建て、落成のミサを挙げた。この土地がサンパウロと呼ばれるようになったのは、この日がカトリックの暦で「聖パウロの回心」の祝日にあたるためであった。
長らく内陸の小さな町に過ぎなかったが19世紀中頃からサンパウロ州内各地でコーヒーが栽培され始めたことにより、サンパウロはサントス港への積み出し地として急速に栄えた。1888年の奴隷制廃止によって代替の労働力が求められたことから、ヨーロッパ出身を主とする移民が世界各地から大挙して押し寄せ、街が拡大したことで工業化が進んだ。今日、サンパウロが国の一大都市としてあるのは内陸のコーヒー生産に導かれた工業化に由来する。


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リベルダージ地区で毎週日曜日行われる東洋市の今川焼屋台
人種大切にしたい日系人との絆

パウリスタ大通りを歩けば行き交う人々の顔ぶれの豊富さに、サンパウロがいかにコスモポリタンな街であるかを感じるだろう。様々な移民の末裔が暮らすサンパウロであるが、ブラジルの他の大都市、あるい
は世界の都市と比べてこの街に顕著なのが私たちと縁の強い日系人の存在だ。サンパウロはブラジル中で日本人、日系人が最も多く住む街でおよそ32万人が暮らしている。
1908年に始まった日本人移民は太平洋戦争前後の中断を挟んで1973年まで続き、戦前に19万人、戦後に5万3千人の日本人がブラジルに渡り、その多くは農業を営んだ。
各国からの移民のなかでも、とりわけ日本人は子弟の教育を重んじたと言われる。そのため日系人には人口比率において高学歴者が多く、ブラジルの最高学府サンパウロ大学においては、長らく日系人が学生のうち10~15%を占めてきた。
ブラジルで日系移民が長年にわたって築いてきた社会的信頼は、しばしば "Japonês garantido(信頼できる日本人)"という言葉で評される。サンパウロで暮らしていると日系人に親切にされることは多いが、仮に日系人と直接関わらなくても、目に見えない恩恵を知らずして受けていることは多いのだ。国籍は違えど、同じ日本文化を背景に持つ日系人は日本とブラジルという国家間レベルにおいても、あるいは個人レベルやビジネスにおいても貴重でありがたい存在だ。


※この記事は「サンパウロの基本の基本(後編)」に続きます。

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ライター

仁尾 帯刀
Tatewaki Nio

ブラジル、サンパウロ在住13年のフォトグラファー。 日本の雑誌等に写真、記事を提供しつつ 写真による創作活動を行う。ただいま、子育て奮闘中。